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インタビュー

マネーフォワードとキャスターの連携で実現されるBPaaSの可能性

マネーフォワードとキャスターの連携で実現されるBPaaSの可能性

2024年5月1日、キャスターは株式会社マネーフォワードとの資本業務提携契約の締結を行うことを決議しました。これにより、共同のサービス開発、両社サービスにおける顧客拡大のための協力など、今後さまざまな形で連携を進めていくことを発表しています。今回は、このプロジェクトに関わる、3名にお話を伺いました。

マネーフォワードビジネスカンパニー CSO室 副室長 本木 雅朗様
コーポレートディベロップメント本部 コーポレートアライアンス部 風間 有香様
マネーフォワードビジネスカンパニー SMB事業推進本部 事業戦略部 部長 君島 寿章様

フルリモートワークで高度なBPOサービスを確立

ーまずは、今回の提携の経緯を教えてください。

風間 有香様(以下、風間様):きっかけは、弊社の代表である辻とキャスター代表の中川さんが共通の知人を通じてお会いしたことでした。もともと取引があったので、キャスターさんのサービスにも理解はありましたが、面談で改めて中川さんからビジネスモデルの詳細を聞き、もう一段上の取り組みができるのではないかと思いました。代表同士が意気投合したこともあり、面談から今回の提携までスピード感を持って進んでいきました。

ー業務提携の議論を進める上で、御社にとって重要だったポイントは何でしたか?

風間様:BPOサービスを展開している企業の中でも、キャスターさんはフルリモートワークでサービスを確立している点が他にはない特色だと思います。

私自身も前職でフルリモートワークを経験しましたが、チームマネジメントやコミュニケーションの難しさに苦労した記憶があります。しかし、キャスターさんのお話を聞くと、さまざまなツールを組み合わせてシステマチックに運用されており、非常に高度な取り組みをされていると感じました。そこが一つのポイントになったと思います。

クラウドツール×人材リソースで顧客課題を解決

ー今回の業務提携で、どのようなシナジーを期待していますか?

君島 寿章様(以下、君島様):弊社は長年、クライアントにツール(マネーフォワード クラウド)を提供してきましたが、「そもそもツールを使えない」や「人手不足で間接部門の人材を雇えない」などのお声がありました。そこで、「経理そのもの」をサービスで代行することでクライアントの課題解決ができないかと考えていたタイミングでキャスターさんとの業務提携のお話がありました。

弊社はマネーフォワード クラウドの提供を通じて豊富なユーザー基盤を持っており、キャスターさんはフルリモートで経理業務をまるごと代行してきたノウハウと、リモートワークを活用した高い採用力を持っています。この強みを組み合わせることで、双方にとって良い協力体制が築けると考えています。

本木 雅朗様(以下、本木様):弊社の顧客層はスタートアップや成長企業が多く、これらの企業は社内の変化が多いのが特徴です。そういった企業ではバックオフィスが逼迫しやすく、もともと税理士の方にすべて任せていたところから内部で経理や人事労務の体制を整える必要があるものの、変化の過程でシステムだけでは決して解決できない人材・運用の問題があります。

そういった問題がある中でキャスターさんは、経理業務をまるごと代行し、人事労務も含めてフルラインナップで対応できるため、弊社としても非常に助かります。

弊社も部分的に経費精算や請求書対応のBPOサービスを提供していますが、クライアントのニーズを満たすにはまだ十分ではありません。キャスターさんの高い採用力とノウハウを活かして、サービスを拡充していく点でもお力添えをいただきたく、今回の業務提携で期待するシナジーの一つだと思っています。

ーまさに、キャスターの強みはフルリモートで全国から優秀な人材を集めることができる採用力と、複雑な業務をオペレーションに落とし込んで運用できるところだと思います。ちなみに、経理人材の人手不足は数年前から言われていることですが、その動きの加速を実感されていますか?

君島様:会計事務所でも人手不足の状況が深刻化しています。ニーズがあっても人手不足で仕事を受けられないということも起きています。キャスターさんと提携することで人手不足の解消はもちろん、さらに一歩進んだ取り組みができると期待しています。

先進的な会計事務所は、弊社のツールやバックオフィスSaaSなどを組み合わせて活用することで業務を可視化し、オペレーションに落とし込んで運用しています。これにより、会計事務所のクライアントやその顧客の生産性が向上していますが、まだ少数です。

『マネーフォワード クラウド』等のツールを通じた生産性向上による人材不足の解消を目指す取り組みを、キャスターさんの強みを活かして広げていけるのではないかと考えています。

BPaaSでバックオフィス業務の革新を目指す

ーキャスターとしてもBPaaS(※1)パートナーとして御社と一緒に取り組むことで、対応範囲を広げていきたいと思っています。

本木様:キャスターさんが現在対応されている業務領域は、単純な業務のアウトソーシングというより、グループ会社によくあるシェアードサービスセンター機能(※2)に近いと思ってます。企業にとって共通化できるバックオフィス業務をまるっと引き受け、それをシステムの力も使って効率化し、スピーディーに届けていくことができるイメージです。

定型業務や、誰でも比較的対応できる業務だけではなく、難易度の高い業務にも対応いただけるので、一緒にプロジェクトを進めていく中でさまざまな可能性を模索したいです。

(※1)BPaaS(ビーパース)とは「Business Process as a Service」の略で、組織における特定の業務プロセスを外部企業へアウトソーシングし、外部企業の知見およびITツールの力を借りて、業務効率化を実現するクラウドサービスのことです。

(※2)グループ企業の間接業務(オペレーション業務)を集約化・標準化する企業改革をシェアードサービスといいます。そして、シェアードサービス導入を通じて、グループ内企業の間接業務を集約して運用する組織がシェアードサービスセンターです。

ープロジェクトを進めていく中で感じた印象はありますか?

君島様:社内共有がしっかりされていて、皆さんが同じ目線で取り組んでいるので、一緒にプロジェクトを進めやすいです。複数のプロジェクトを進めさせていただいていますが、どれもスピーディーに対応していただけるので、パートナーとして非常にやりやすいと感じています。

本木様:Slackでは頻繁にやり取りさせていただいていますが、実はまだ一度もキャスターの方にリアルでお会いしていないんです。それでも、プロジェクトはスムーズに進んでおり、同じく仕事の進めやすさを感じています。

ーありがとうございます。フルリモートワークで対面でのコミュニケーションがない分、チャットでのやり取りが非常に活発で、情報共有がしっかりと行われています。最後に、両社の取り組みで目指していることや実現したいことがあれば教えてください。

君島様:弊社の視点から言えば、会計ソフトの単価は数千円程ですが、キャスターさんのように経理業務をまるごと代行するサービスでは、一気に顧客単価が数十万円に上がります。これにより、ツールを使えない人も対象となり、ユーザー数と単価が広がり、対応可能な全体の市場規模(TAM)が大きくなると考えています。

その実現には弊社が提供するサービスだけでは難しいので、ぜひキャスターさんと協力して実現したいと思っています。

風間様:今回は資本提携も含んでいるので、どちらも売上拡大、利益拡大につながるよう、両社の強みを活かして取り組みを密に進めていけると嬉しいと思っています。

ー今回の提携により、双方の強みを掛け合わせることで実現可能なBPaaSモデルが、企業のバックオフィス業務のDX化・効率化により業務が安定することで、人手不足に悩む多くの企業の成長の一助になると信じています。ありがとうございました。

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